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【開催レポート】福岡100ラボ meet up!キックオフイベント
掲載日: 2023/10/26

福岡市と福岡地域戦略推進協議会は、7月13日に九州しあわせ共創Hub「QHub」で「福岡100ラボ meet up!」のキックオフを開催しました。
福岡100に関心のある企業や行政、団体、個人などが出会い交流できるオープンな場として、毎回テーマを設定し、ゲストによるパネルティスカッションとネットワーキングを行うこの企画。キックオフとなる今回は、各方面で活躍する3人が登壇し、福岡市役所福祉局長の藤本広一氏がモデレーターを務めました。
当日の白熱したパネルディスカッションの様子を一部抜粋してご紹介します。


〈登壇者一覧〉
・九州大学大学院経済学研究院 産業マネジメント専攻教授 高田仁 氏
・Fukuoka Nowゼネラルマネージャー サーズ恵美子 氏
・福岡市社会福祉協議会 地域福祉部長 馬男木幸子 氏
・モデレーター 福岡市役所 福祉局長 藤本広一 氏


目次
●福岡100ラボとは
●アントレプレナーシップのある人生
●地域福祉がもたらす社会貢献+αの魅力
●人生100年時代は3毛作も4毛作も楽しめる!
●自分が好きなこと・楽しめることを選ぶ
●内面に向き合うと自分らしく生きられる
●人生100年時代に企業と個人ができること




■福岡100ラボとは/福岡市役所 福祉局長 藤本広一氏
「福岡100」は急激に進む少子高齢化に対応した持続可能なまちづくりを目指し、2017年にスタートました。来るべき人生100年時代では、人口構造やライフスタイルなどが大きく変わります。それに伴い、制度やまちのあり方も見直す必要があります。それらを支えるビジネスも大きく変わっていきます。そこで、福岡市では、行政だけでなく企業や大学などと一緒になって「福岡100」に取組んでいくために、企業等からの事業提案窓口である「福岡100ラボ」を運営しています。
本日のイベント「福岡100ラボmeet up!」は、「福岡100」への理解を深めて頂くとともに、課題に取り組む様々な立場の方々が、意見交換し交流する場として月1回程度の開催を予定しています。今後もテーマを決めて開催していきますので、新たなアクションや連携のきっかけになればと考えています。






■アントレプレナーシップのある人生
「ビジネスの観点から人生100年時代を考える」九州大学大学院経済学研究院 産業マネジメント専攻教授 高田仁氏
VUCA時代において、人生100年はマルチステージで、変化の中に新しい機会を見つけ出し、自分なりの価値を生み出そうとするプロセスだと思います。これは僕が専門としているアントレプレナーシップと共通しています。
今、世の中には簡単に答えが出ないことが多い。どうにも答えが出ない状態に耐えられる力、つまり『ネガティブ・ケイパビリティ』の著者・帚木蓬生さんに会って、どうすればその力が身につくのか語り合いました。1つは好奇心を持ち続けること、2つ目は怒りや悲しみの感情で、何かを見つけたり洞察を深めたりするときに持続性があります。3つ目は少数派であることによって、世の中の常識にとらわれずに深く考えられます。
100年時代を生きるときは、自分の内面と向き合うことがとても大事です。自分のモチベーションの源泉を大事にしながら、まずは思いついたら行動してみて、その結果すぐに答えが出なくても悲観する必要はない。逆に簡単に答えが出ないなら、簡単に答えを出さない方がいいことなのかもしれないと頭に置いておくと、実は気持ちがすごくラクになります。内面と向き合って行動してみようという個人を大事にできる会社や組織は、個人にとって魅力的であり、そういう会社こそが、社会から共感を得ることにつながるのではないかと思っています。





■地域福祉がもたらす社会貢献+αの魅力
「社協×企業の連携の現場から」福岡市社会福祉協議会 地域福祉部長 馬男木幸子氏
福岡市の社会福祉協議会は、地域において高齢者や障がい者の見守り、高齢者のふれあいサロン、買い物支援、子ども食堂の立ち上げの支援など、さまざまな活動に取り組んでいます。地域の方が必要性を感じ取り組みたいと思っていることを形にするお手伝いをしていて、地域だけでできないところは企業や大学などに協力してもらえるようにつなぐ役割も担っています。
企業と連携している事例をご紹介しましょう。1つは、ガス検針企業×大学×地域ふれあいサロンです。地域の高齢者が集まるふれあいサロンで、社員の方が定期的にボランティアのメンバーとして活動されています。普段は地域でガスの検針業務をされている社員たちが、高齢者の心身や接し方について大学で学んだ知識を生かしています。同社の担当者は「企業としての社会貢献もあるが、社員が大事な人材だから、退職後もそれぞれの地域で活躍できる人になってほしいと思って取り組み始めた」と言われていました。会社にいる期間だけを考えるのではなく、人として育成されていることが素晴らしいと思います。ほかに、葬儀社がバスを出して高齢者を買い物に連れて行ってくれる事例や、JAと福祉施設が連携して子ども食堂を応援する事例、不動産会社が高齢者や障がい者の住み替えを支援する仕組みなどもあります。





■人生100年時代は3毛作、4毛作で楽しめる!
「人生100年時代を遊び倒そう」Fukuoka Nowゼネラルマネージャー サーズ恵美子氏
1998年に創業したフクオカ・ナウは、外国人のための情報紙からスタートして、今はオンラインでタイムリーな情報を発信しています。私たちは自分が楽しみつつ、福岡のファンを増やすために、魅力が伝わる情報を発信するように心がけています。
私は20代半ばで起業して、事業売却後は夫が経営するフクオカ・ナウにジョインしました。仕事に夢中だった若かりし頃、「人生二毛作だよ」と素敵な経営者に言われたのが印象に残っています。若いうちは年上と付き合っていろんなことを学び、次は自分が若い人に教えてあげなさいと。人生100年時代には、3毛作4毛作でさまざまなステージを楽しめると思います。
私は、何かを選ぶときに一番大切にしているのは周囲の幸せです。結果的に自分に跳ね返ってくるため、まわりが幸せじゃないと楽しめません。そして、大前提として健康、特に体力や筋肉が必要です。体が弱ってしまうと、健全に考えられなくなります。ほかには、選択肢の中から自分で選び好きなことをできる経済力をつけること、最初からNOを言わないこと、おいしいものを食べること、考えることを諦めずに答えが出るまで考え続けて自分の考えを導き出すこと、若い世代を優先することを日々の活動において意識しています。
万国共通で通じるフレーズは「Happy wife, happy life!」です。wifeはいろいろな対象に置き換えられますが、ほかの人を優先するのが最もハッピーで楽しめます。皆さんもぜひ一緒に福岡で遊び倒しましょう。


ディスカッション




■自分が好きなこと・楽しめることを選ぶ
藤本:アントレプレナーシップにしろ地域福祉にしろ、「好き」「楽しい」が根底にありそうです。
高田:自分自身が楽しくないとそもそも長続きしませんよね。自分には今、何が楽しいのかという基準は重要で、私は常に自分が楽しめる方を選択しています。
馬男木:高齢者が集まる触れ合いサロンはボランティアをしている方も高齢者が多く、74歳までの前期高齢者は「若手」と呼ばれます。自分たちでアイデアを出して形にしていくことが楽しみで、80代90代でも皆さんすごくイキイキと活動されています。いくつになっても役割があり、誰かに必要とされていると自覚できる生き方は素敵だなと思います。
サーズ:「80歳になったときにまわりに誰がいるだろう」とよく話すんですよ。夫は一回り以上年上なので、車いすに乗っているかもしれない。80歳で車いすを押す体力がいるかもしれないのは大変と思うけど、欧米系の夫婦はそうやって海外旅行をしますよね。私も世界中を一緒に遊び回れるように足腰を鍛えておきます。





■内面に向き合うと自分らしく生きられる
藤本:皆さんの話を聞いていると、ちょっとした気づきで地域とビジネスがつながるんだなと思いました。
高田:日頃から問題意識を持って考え続けている人は、機会が目の前を通り過ぎたときに飛びついて、行動が始まります。結局のところ、人生100年どう生きるかというのは、自分は何に興味があるか、何が好きで長くやれるか、逆に嫌なことは何かというような内面に向き合ってみると、自分らしく豊かに生きることにつながるのではないでしょうか。寄らば大樹の陰でビジネスパーソンとして大きな組織に依存して定年退職するのが20世紀型で、今は自分で問題意識を持って主体的に生きていくマルチステージの時代であり、そこが大きな分かれ目になると思います。
自分の内面と向き合うのは決して難しいことではないんですよ。人にはそれぞれこだわりがあり、例えば大好きなことを3つ、これだけは嫌ということを3つ挙げるとしたら…と考えていけば、その集大成が自分らしさなんです。
馬男木:まさに地域のボランティアさんって、自分がやりたいことはやって、やりたくなければそこには入らないという自由があります。
サーズ:私は母親に「好物をすぐ言えるようにしておきなさい」と教わったんですよ。例えば、私はチョコレートが好きだと言っているとチョコレートをもらえるし、まわりに近づくきっかけを与えることにもなるのでおすすめします。
馬男木:私は解決策を作っていくことが仕事で、今はできてないけどやりたいことを思いついたら口に出すようにしています。そのうちヒットする人がいるかも、誰かがヒントを持っている人を紹介してくれるかもと思って。サーズさんと似てますね。




■人生100年時代に企業と個人ができること
藤本:今回のmeet up!は皆さんにとって何かのきっかけになればと考えています。企業に勤めるビジネスパーソンが多く参加されていますが、人生100年時代に個人や企業はどんなことを意識したらいいでしょうか?
高田:最近は大きい組織でも兼業・副業を認めるところが増えてきて、すごくいいことだと思っています。同じところに長くいるととらわれた状態になることは否めないので、週1日や2週に1日でも組織の外で活動して力を発揮すると、意外と自分の力を認めて期待してくれる人がいると感じることもあるでしょう。兼業・副業を積極的にされるといいと思います。
藤本:最後に一言ずつ、集まってくださった皆さんへメッセージをお願いします。
馬男木:最初に紹介したガス検診企業のご担当者は「社員には会社を退職しても地域で輝ける人材になってほしい、企業としてもそこを応援したい」とおっしゃっていて、すごくいいな、そういう企業が増えてほしいなと思っています。うちは社協業界では珍しく、いろいろな企業とのコラボや新しいことに積極的にチャレンジしているので、関心を持ってくださったら、ぜひご連絡ください。
高田:今日ここに来られている方は、すでに問題意識と行動力をお持ちなのだと思います。馬男木さんやサーズさんのようにリーダーシップを発揮して、自分でいろんなことを仕掛けていける人がいれば、一方で世の中には自分がリーダーをする感じではないという人の方が多いでしょう。そういう方々は、リーダーシップを発揮する人に対してフォロワーシップを発揮してください。全員が率先してリーダーをやる必要はなくて、何をすればいいか分からない人は魅力的なリーダーについていくだけでも面白いことが生まれるので、そういうことも思い立ったら即行動しましょう。
サーズ:私は「違いが楽しい」と伝えたいです。違いが目の前に来ると怒りや戸惑いを感じる人がいるので、フリーズしている人がいたら、広い心で楽しさに導くことを考えてみてほしいと思います。今、福岡には外国人が増えてきています。英語を話せなくても、いろいろな人に声をかけてみんなで楽しめるといいですね。
藤本:今日はありがとうございました。福岡100ラボでは、今後もさまざまな投げかけをしていくつもりです。引き続き、よろしくお願いします。


登壇者プロフィール


九州大学大学院経済学研究院
産業マネジメント専攻教授
高田仁氏

九州大学卒後、大手メーカーやコンサルティング会社、技術移転会社を経て、2003年に九州大学ビジネス・スクール(QBS)着任。2010年よりロバート・ファン/アントレプレナーシップ・センター(QREC)を兼務。2020年から九州大学副理事(経営改革、アントレプレナーシップ教育、産学官連携担当)を兼務。RTTP(国際認定技術移転プロフェッショナル)。


Fukuoka Now 
ゼネラルマネージャー
サーズ恵美子氏

福岡・九州の魅力を発信する多言語メディアFukuoka Nowを、創業者であるカナダ人パートナーと運営。多様な文化や価値観を意識したコミュニケーション、企画・編集を専門とする。


福岡市社会福祉協議会
地域福祉部長    
馬男木幸子氏

福岡市社会福祉協議会は「福岡から日本の社会課題を解決する」をミッションに掲げ、地域福祉を推進する地元密着の民間総合福祉団体。
住民主体の活動の支援のほか、企業や大学など多様な主体との協働による新たな課題解決の仕組みづくりに取り組んでいる。


福岡市役所
福祉局長
藤本広一氏

熊本生まれ、横浜市~愛知県長久手市育ち。福岡市役所ではロボカップやサイバー大学の誘致、基本計画策定、創業特区、スタートアップカフェ立ち上げなどに携わる。2017年4月より、防災・危機管理部で防災の計画や広域協力に取り組む。熊本地震の際は大名小学校での物資受け入れを担当した。個人の活動では、旅をキーワードに九州を遊ぶ、九州エンパワーメント研究会を主宰。




福岡100 ラボは、人生100 年時代を見据えた、持続可能なまちをつくるプロジェクト「福岡100」を、企業や団体、大学など多くのみなさんと一緒に実現していくための共創の場です。随時提案を募集しています。
「福岡100ラボmeetup!」では今後もさまざまな意見交換を行い、人生100年時代に向けた暮らしのアップデートを目指していきます。次回も近日開催予定!どうぞご期待ください。


■お問い合わせ先
https://f-100lab.jp/contact/





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