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「福岡100ラボ」は、人生100年時代に向けた未来のまちづくりプロジェクト「福岡100」を産学官民オール福岡で推進していくための共創の場です。第11回となる「福岡100ラボmeet up!」では、近年注目が高まっている「健康経営」に着目し、事業者が考えるべき課題や取り組みについて意見交換を行いました。
<登壇者一覧>
・福岡市保健医療局 健康医療部 地域保健課 健康づくり係長 松村 むつみ 氏
・アクサ生命保険株式会社 HPM推進部HPM第4課 課長 健康経営エキスパートアドバイザー 藤井 斉 氏
・株式会社ルネサンス 地域健康推進部 西日本チーム長 加藤 陽友 氏
・株式会社正興電機製作所 人材活性推進部 部長 松田 夕子 氏
<目次>
いかに平均寿命と健康寿命の差を縮めるか
各保険者とともに健康づくりに取り組む
健康になることが健康経営の目的ではない
無関心層よりも“変われる層”にアプローチを
転倒を引き起こす社会的背景とそのリスク
モチベーションを保ち、継続できる環境を整える
健康経営を通して社是を実現する
従業員を巻き込むための仕掛けが重要
いかに平均寿命と健康寿命の差を縮めるか
福岡市保健医療局 松村(以下 松村):健康経営とは、従業員の健康保持・増進が収益性等を高める投資と捉え、健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践することです。私からは、なぜ今、健康経営が重視されているのかについてお話しします。
日本人の平均寿命は年々延びており、昭和22年には男性が50.6歳、女性が53.96歳だったのが、令和6年には男性が81.09歳、女性が87.13歳となっています。そして平均寿命の推移と将来推計を見てみると、令和52(2070)年には男性が85歳、女性が90歳を超えるとされています。

福岡市の高齢化の将来推計によると、令和32(2050)年には3人に1人が高齢者という構造になります。10〜14歳までの年齢のパーセンテージは大きく変わりませんが、生産年齢人口はどんどん減少していきます。

平均寿命と並んでよく聞くのが「健康寿命」です。これは「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」を意味します。平均寿命が長くても健康寿命との差が小さければ、元気に活躍できる人材が多いということになります。
令和2年の平均寿命と令和元年の健康寿命の差を算出したところ、福岡市では男性が9.66年、女性が13.65年と、国の平均よりも少し長めでした。この差を縮めていくことが今後の課題です。なお先日、令和4年度の健康寿命のランキングが出たのですが、福岡市は政令指定都市の中で女性が1位、男性も9位と、徐々に改善してはいます。

健康寿命と介護の問題は密接に関わります。福岡市の要介護認定者数の推移と将来推計を見ると、令和22(2040)年に向けてどんどん増えていきます。それに伴い、介護保険にかかる費用も上がっていきます。

ここで併せて考えたいのが介護保険の財源です。
1割(一部2〜3割)は実際の利用者が負担しますが、残りの9割は介護保険から支払われます。
介護保険全体の財源内訳は、50%が国県市町村、残りの50%は40歳以上の方が支払う介護保険料です。50%保険料のうち、65歳以上の人の保険料が23%、40歳~64歳の人の保険料が27%を占めており、実は現役世代の保険料が多くの割合を占めています。
要介護認定者が増え、要介護度が重症化し、必要なサービス料が増えると介護保険料も増えるため、介護を必要としない世代の負担も大きくなります。現状の制度が破綻しないためにも、介護予防、重症化予防の取り組みが必要です。
各保険者とともに健康づくりに取り組む
松村:では、そもそも何が原因で介護が必要になっているのでしょうか。男性は脳血管疾患や心臓病などの生活習慣病、女性は大腿骨頸部骨折や腰痛などのロコモが多いと言われています。また福岡市の国民健康保険の医療費の内訳を見ると、生活習慣病が4割近くを占めています。

全国の主な死因別死亡数の割合を見ても、悪性新生物(がん)や心疾患など、生活習慣病が上位を占めています。健康寿命を延ばしていくためには、生活習慣病をいかに管理して、重症化させないかが重要になります。
生活習慣病を予防するためには、基本的な生活習慣の見直しが大切です。令和元年度に福岡市民にアンケートを取ったところ、運動習慣のない層は30〜50代の働き盛り世代に多く、特に30〜40代の女性では6割という結果が出ました。

喫煙習慣や飲酒習慣も40〜50代の働き盛り世代に多く見られます。それだけこの世代は改善が必要な生活習慣のリスクを抱えているということです。


では重症化を予防するために何ができるかというと、一つは健康診断です。健診の目的は、悪いところを見つけて、治療が必要な方を医療機関につなげ、リスクがある方には特定健診や特定保健指導を通じて生活改善の支援を行うことです。

国民健康保険に加入している方であれば、健診のデータをもとに福岡市から保健指導や受診勧奨を行うことができますが、協会けんぽや健康保険組合など、職場の医療保険に加入している方には我々が直接働きかけることはできません。
その後、リタイアして国民健康保険に加入された時には、すでに生活習慣病が重症化していた、というケースも少なくありません。もっと早い段階で適切な対策を行うためには、行政と各保険者がともに健康づくりをすることが重要です。ここでカギとなるのが健康経営の考え方です。
国民の健康についての方針「健康日本21(第三次)」にも、多様な担い手と連携しながら取り組みを進めていく必要性が示されています。具体的な目標として、保険者と連携して健康経営に取り組む企業数を10万社まで増やすことが定められています。

健康経営の大きな特徴は、この取り組みによって企業にメリットがあるという点です。我々行政としてもそこを前面に押し出しながら、推進したいと思っています。また、30代から50代をターゲットにしたエクササイズの動画を配信するなどしておりますので、ご活用もよろしくお願いいたします。
⚫︎福岡市が配信している動画「ながらエクササイズ」はこちら⇒https://www.city.fukuoka.lg.jp/kenko-woman/
健康になることが健康経営の目的ではない
アクサ生命保険 藤井(以下 藤井):アクサ生命保険では、健康経営という言葉が使われるようになった当初からその重要性に着目し、お客さまとともに研究を進めてまいりました。そして今、健康経営に取り組む全国の企業、約85,000社を支援させていただいております。 健康経営には「健康経営優良法人認定制度」という指標があります。特に優良な健康経営を実践している企業を認定する顕彰制度で、昨年度は3,400社の大企業と、19,796社の中小企業が認定されました。

弊社は、この19,796社の中小企業のうち5,498社、27.8%の企業を支援させていただきました。そして、こうしたサポートを通して蓄積した知見を、また他の企業に共有して好循環を生み出す取り組みを行っております。

こちらが健康経営の考え方を図式化したものです。健康診断などは当たり前にやっていらっしゃる企業が多いと思いますが、そこからさらに健康に対する細かい投資をしていき、従業員一人ひとりの健康が促進されることによって組織が活性化し、企業価値が上がることをゴールとしています。

ただし健康経営は企業だけの話ではなく、働く従業員にとってもメリットがなければ意味がありません。ここには二つの視点があって、企業目線では、従業員の健康が永続的な発展につながり、従業員目線では、自分の健康が幸せな人生や目標の実現につながります。つまり、健康自体が目的ではないのです。健康経営を実践していると、この視点が途中で変わってしまい、健康になることだけにスポットが当たってしまいがちなので、ゴールを見失わないことが重要です。
健康経営に取り組む企業にどのような効果を実感しているかのアンケートを実施したところ、このような結果が出ました。「ブライト500」とは、健康経営優良法人に認定されている中小企業の中でも、特に優れている上位500社に与えられる称号です。

例えば、ブライト500の企業の84%が従業員の健康状態の改善を実感しており、その他の項目に関しても高い割合になっています。健康経営だけがこうした効果を生み出しているとは言えませんが、相関関係は十分あると考えられます。
一方で、ブライト500以外の企業の数字とは開きがあることもわかります。健康経営の効果を出すには時間がかかります。ブライト500の企業は少なくとも5年以上は健康経営に取り組んでいるため、じっくりやっていくことで効果が生まれると信じ、継続していくことが大切です。
さらに就活生に行った調査では、健康経営に取り組んでいることが就職先の重要な決め手になると答えた人が60.4%にのぼりました。このように、健康経営は人材の採用においても大きな効果があると言えます。

無関心層よりも“変われる層”にアプローチを
藤井:この図は、弊社が企業のサポートを行う際の視点です。企業の永続的な発展と、従業員のウェルビーイングの実現を同時に目指すことを中央に据え、その周囲を4つの象限に分けています。

左上は「健康増進」です。生活習慣病予防や運動促進、二次健診受診の徹底など、企業が主体的にコントロールし、従業員の健康づくりを後押しする領域です。
右上は「働きやすさ」です。魅力的な職場づくりのためにできることは多岐にわたります。フレックスタイム制やリモートワークといった働く現場のカスタマイズはもちろん、従業員間の心理的安全性の確保も重要です。
右下は、従業員目線での「働きがい」です。何のためにこの仕事をし、どんな価値を生み出しているのか。企業側が経営理念を訴え続けることも大切ですが、それを受けて一人ひとりが「自分はこう考え、こう行動する」と腹落ちすることが、働きがいの向上につながります。この領域は経営者が直接踏み込みにくい部分ですが、非常に重要な視点です。
左下が「生きがい」です。これは完全に個人の領域ですが、夢や目標を持ち、地域や社会とのつながりを持っている人は生産性が高いというエビデンスがあります。人生を前向きに、生き生きと過ごしている人ほど、仕事においても高いパフォーマンスを発揮するのです。
健康経営を実践する際には、社内外に健康宣言をすることからスタートし、担当者を決め、自社の健康課題を把握し、施策を検討・実行します。その後、効果検証を行い、PDCAを回していくというのが一連の流れです。
しかし実際には、多くの企業が自社の課題を把握する段階でつまずいてしまいます。「うちの従業員の健康課題は何なのか」という点が、非常に分かりづらいからです。
そこで弊社では「健康習慣アンケート」を無料で提供しています。 これは、7つの生活習慣について従業員がどのように考え、行動しているのかを可視化するものです。

赤い部分は「無関心期」で、例えば運動に関する無関心層は26%いるということが把握できます。健康経営では無関心層へのアプローチも大切ですが、無理に行動変容を促しても効果は出にくく、企業側も疲弊してしまいます。
それよりも少し背中を押すことで行動が変わりそうな「関心期」や「準備期」に注力し、日常的に健康行動をしている「維持期」に近づけていくための適切な施策を打つことが重要です。
では最後に、これまでの支援で蓄積されたデータからわかってきたことをご紹介します。
日本人の健康関心層は34%で、それ以外の66%は健康に無関心です。この二つの層に分けてさまざまな調査を実施したところ、自分の健康状態をいいと感じている人の割合が、健康関心層が7割なのに対し、無関心層は5割でした。朝食欠食率、運動習慣率、喫煙率、睡眠への満足度など、その他の項目に関しても健康関心層の方が望ましい傾向を示しました。

さらに注目すべきは「ワーク・エンゲージメント」です。仕事に取り組む姿勢や仕事への誇りなどの9項目をポイント化すると、健康関心層の方が明らかに高くなっています。

こうした結果から、企業の活性化を促すには、健康関心層を増やすという初歩的なアプローチも同時に意識していく必要があることがわかります。
転倒を引き起こす社会的背景とそのリスク
ルネサンス 加藤(以下 加藤):ルネサンスは「健康」をキーワードに多角的に事業を展開するフィットネス企業で、業界では国内ナンバーワンの売上規模を誇ります。福岡市内には3店舗あり、ベトナムの2店舗を含む296拠点を全国に保有しております。
今回、私からは「転倒予防」についてお話しします。ややニッチなテーマかもしれませんが、近年、転倒する方は増加傾向にあります。
実は、日本人は座りすぎです。シドニー大学が主要20カ国を対象にした平日の座位時間を調査したところ、日本は1日平均7時間と最長でした。最も短いポルトガルは約2.5時間です。この背景には日本の文化も影響していて、来客があれば「どうぞおかけください」とすすめるホスピタリティマインドが、日常的に座る時間を増やす理由の一つとなっています。
それで何が起こるかというと、お尻の筋肉が衰え、股関節をうまく使えなくなり、足が上がらなくなっていきます。これが転倒を引き起こす「つまずき」の一因となります。
こちらの折れ線グラフは労働災害の種類別件数の推移を表したものです。労災自体は減っているのですが、転倒だけを切り取ると右肩上がりで増えています。

その理由の一つが超少子高齢社会です。しかし高齢化は決して悪いことではありません。昔と違って、今では高齢世代が「支えられる側」から「支える側」へと変化しつつあります。ただし、年齢とともに身体機能が低下するのは避けられない事実です。この社会背景のまま何もしなければ、転倒する人の数はどんどん増えていきます。
こちらの図は、体の機能のピークと言われる20~24歳の能力を100とした時、55~59歳の身体機能を相対的に示したものです。平衡機能、回復能力、視力、関節能力、握力など、全てが低下しています。

しかし一方で、何歳からでも適切な取り組みを行えば筋力や柔軟性は向上することもわかっています。そこに気づき、継続していくことがポイントです。
転倒には、運動機能低下などの内的要因と、段差や滑りやすさといった外的要因、さらに焦りなどの社会管理的要因があります。転倒による骨折は、生活の質を大きく下げます。仕事への影響も大きく、長期離脱につながればチームの生産性や企業全体にも影響を及ぼします。
モチベーションを保ち、継続できる環境を整える
加藤:こちらのグラフは、福岡市職員の公務災害発生件数のうち、転倒が占める割合を示しています。45歳くらいから増加傾向にあり、年齢が上がるにつれて割合が高まっていることがわかります。

こうした課題意識から、他自治体で行われていた「職員の椅子をバランスボールに置き換える」という取り組み事例をもとに、福岡市のご担当の方が当社にご相談くださり、2024年に共同で実証事業を行うことになりました。テーマは「転倒しない体づくり」です。
この実証事業の特徴は、単にバランスボールを納品するのではなく、当社のノウハウを活かしてソフト面の取り組みも組み合わせている点です。具体的な内容は、日常的に運動習慣のない40歳以上の福岡市職員100名を対象に、椅子をバランスボールに置き換えるとともに、隙間時間でできる簡単なエクササイズに3か月間取り組んでいただくというものです。
最初に、転倒予防の必要性とエクササイズをレクチャーし、3種目の転倒リスクを測る「転倒リスク測定会」を実施しました。測定方法は、座った状態で素早く足の開閉を繰り返す「座位ステッピングテスト」や、大幅の2歩で何センチ進めるかを調べる「2ステップテスト」などです。これらの測定やエクササイズはペアで実施したため、「仲間意識が生まれてよかった」という声をいただきました。
また、バランスボールは11色からお好きな色を選んでいただき、空気入れなどのメンテナンスもご自身で行っていただくことで、愛着やモチベーションにつなげました。中にはボールに名前をつけて可愛がる職員さんもいらっしゃったとのことです。
こちらが実施時の様子です。期間中は、専用のグループチャットを活用して職員間で情報交換を行っていただきました。私も20年以上フィットネスの仕事をしておりますが、やはり一人ではなかなか続かないものです。そのため、相互の刺激による継続促進や、悩み解決がスムーズにできる環境を整えました。

そして3か月後、再び転倒リスクを測定したところ、全ての種目において数値が向上しました。こうして効果を“見える化”させることは、その先の継続のモチベーションにもつながります。

また定量的な改善だけではなく、定性的な効果も多く報告されています。例えば「姿勢がよくなった」という変化については、バランスボールに座っているだけでおのずと筋活動が発生し、これが常態化することで正しい姿勢に必要な固定筋が強くなったと考えられます。一方で、腰や肩に痛みが出た方や、測定会のスケジュールの問題、デスクとの相性の悪さなどのネガティブな意見もいただき、課題も明確になりました。

大変光栄なことに、本取り組みは厚生労働省が主催する「SAFE コンソーシアムアワード2024」において、企業間連携部門の最高位であるゴールド賞を受賞しました。
しかし、体の機能の改善やこうした評価を受けたことはあくまで起こった事象に過ぎません。大切なのは、健康経営の本質に資する部分、すなわち、どうすれば私たち一人ひとりが健やかに暮らしていけるかという点に尽きると思います。
今回の実証事業のポイントをまとめると、「日常動作をエクササイズに置き換えたこと」「ハードとソフトを組み合わせたこと」「効果を“見える化”したこと」「仲間と取り組む仕組みをつくったこと」「専門家チームが伴走したこと」「関係者全員の熱意があったこと」の6つが挙げられます。
これらが有効に働いたことで、質を伴った継続的な取り組みを実現することができたと思っています。
健康経営を通して社是を実現する
正興電機製作所 松田(以下 松田):正興電機製作所は創業104年、従業員数985名の企業です。本社は博多にあり、古賀市に工場を構えています。主な事業内容は、電気を供給するための電気設備や上下水道設備の製造・施工で、従業員の8割がエンジニアです。女性比率は約12%と男性が多い職場環境で、喫煙率が高い、塩分の強い食事を好む、健康より仕事を優先する、といった社風の中で健康経営に取り組んできました。
弊社は「最良の製品サービスを以って、社会に貢献す」という社是を掲げ、従業員の健康が社是を実現するための重要な資源の一つであると捉えています。

国の施策として健康経営が本格化した2013年に、当社も健康経営をスタートしました。2016年に健康経営優良法人認定制度が始まり、当社は2018年から継続して認定を受けております。さらに2024年には、健康経営優良法人(大規模法人部門)の上位500社「ホワイト500」の中から上場企業・業種別1社に絞る「健康経営銘柄」にも選定されました。
健康経営の推進体制としては、社長をトップとし、情報部門の執行役を委員長とする「健康経営プロジェクト」を設置しています。私は人事としてこのプロジェクトの事務局を担当し、ツール開発などは社内のIT部門が行っています。

戦略としては、何かのイベントを実施して終わりということではなく、社是にどのようにつなげるのかを明確にし、KPI・KGIを設定した上で施策を展開しています。こちらの戦略マップでは、目標達成のためにどのような投資を行うかを整理しており、快適なオフィス環境の整備などもその一環です。

中でも大きな取り組みが、自社開発のウォーキングアプリです。現在、従業員の8割以上が利用しており、チーム戦と個人戦の両方を実施しています。チームは自由に編成でき、個人戦では150位までランキングが表示されます。歩数に応じて健康ポイントが付与され、そのポイントで商品購入・景品交換などができる仕組みになっています。退職後もアプリを使い続けているOB・OGがいる点も特徴的です。

従業員を巻き込むための仕掛けが重要
松田:さらにアプリの利用率を高める運用として、アプリのインストールや健診受診などのヘルスケア活動を人事考課項目に追加しました。また、二次健診を1人あたり5,000円まで補助したり、全社員にウェアラブル活動量計を無償支給するなどの取り組みも行っています。

従業員が参加したくなる場づくりにも注力しており、毎月、参加型のイベントを実施しています。先日は「食生活改善ウィーク」と題し、4日間ミッションに参加して完了するとポイントが付与されるイベントを開催しました。
景品エントリー制のウォーキングイベントもあり、専用のSNSアカウントにウォーキングに関する投稿をして「いいね」が最も多くついた人にカタログギフトを進呈するなど、投稿の活性化にも工夫を凝らしています。さらにそれらの景品は役員から提供していただいており、経営層の参加も促す仕組みにしています。
新入社員教育では、フィールドワークを通じて自社製品がどのように使われているかを学び、その様子をSNSに投稿してもらいます。研修の感想や自己紹介を共有することで、社内でのコミュニケーション活性化にもつなげています。

またバーチャルウォーキングも導入しており、本社から古賀工場までの約60kmのコースと、東京支社周辺の穴場巡りコースを作成しています。アプリ上で従業員の進捗が可視化されるため、何周も回っている強者がいることを知れたり、経営層が隣を歩いていたりするのも面白い点です。
さらに、従業員の成果を支える取り組みとして家族参加型のイベントを実施している他、社内に卓球台を設置し、昼休みを活用した卓球大会も開催しています。役員も参加することで、部署や立場を超えた交流の場となっています。
こうした健康経営の効果を測るため、エンゲージメントサーベイを実施しています。特に課題として捉えているのが従業員のモチベーションです。自社製品が社会に役立っているという誇りは高い一方で、自分自身がどうなりたいかという点は低いため、モチベーション向上をKPIに設定し、人事はもちろん、経営層の研修でもサーベイ結果をもとに各部門で施策を検討していただくようにしています。

健康経営に対する定量的な評価としては、生活習慣改善の変容ステージ等の定量指標を継続的に測定し、社内外に公表しております。

採用面にも効果が出ており、「ホワイト500」で検索して応募する学生が増え、2020年以降、志望者数は約2倍に増加しました。定着率も高く、今年は2名退職したため98%となっていますが、直近4年間は100%を維持しています。

ホワイト500と健康経営銘柄に継続して選ばれることは弊社のミッションではありますが、取得すること自体が目的ではありません。他社と比較して何が足りないのかを分析し、毎年の施策に反映しながら、よりよい健康経営を行っていくための手段だと捉えています。

今後は経営層の関与をさらに高め、会議体で健康経営を継続的に議題として取り上げていきます。また、KPI・KGIを可視化し、社内外に公表することで浸透と質の向上を図ります。仮に成果が出ない施策があったとしても、その理由を分析し、次につなげることが重要です。そして自社だけでなく、協力会社や他企業にも健康経営を広げ、社会全体への定着を目指していきたいと考えています。
<登壇者プロフィール>

松村 むつみ / 福岡市保健医療局 健康医療部 地域保健課 健康づくり係長
1999年入庁。保健師として地域の健康づくり、高齢者事業や、成人保健事業を主に担当。
現在は健康づくり全般を担当、働き世代へのアプローチに課題を感じ、民間企業との連携・協働を目指す。

藤井 斉 / アクサ生命保険株式会社 HPM推進部HPM第4課 課長 健康経営エキスパートアドバイザー
平成3年、アクサ生命保険の前身である日本団体生命に入社。主に官公庁・大企業の団体保険・企業年金・福利厚生型制度保険の制度設計・企画・推進に携わる。平成31年より現職にて、年間100社を超える九州地区の中小企業へ健康経営普及のためのセミナー活動や実践アドバイス業務に従事。2021年度日本経済新聞社主催「日経オンラインセミナー健康経営大会議」にパネリストとして登壇。

加藤 陽友 / 株式会社ルネサンス 地域健康推進部 西日本チーム長
店舗責任者を歴任後、現在は、多くの自治体と手をとりあい社会課題の解決や地域の健康づくり支援に従事。健康運動指導士/介護予防運動指導員/防災士/4児の父親

松田 夕子 / 株式会社正興電機製作所 人材活性推進部 部長
1999年正興電機製作所入社。システムエンジニアとして金融系のシステム開発に従事。2009年人事部へ異動。2017年に初めて健康経営優良法人に認定され、以後認定継続中。「社員が活き活きと仕事ができる」職場環境を目指す。
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